【読書記録】ー 考具
技術者という仕事をやっていてもアイデアを求められることは常日頃あります。
そのような周りからの期待に応えたい気持ちは山々なのですが、中々いいアイデアを出せず、悔しさを感じていました。
そんな中、書店で「考具」という本を見つけたので、アイデア出しのヒントになればと思い読んでみました。
- 作者: 加藤昌治
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 2003/04/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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文体が著者が語りかけてくれているような感じで非常に読みやすく、且つ、今までの自分の考えと違う気づきが多く得られました。
今回は本書を読んで学んだ、アイデアの出し方、企画の作り方をまとめていきます。
アイデア出しにあたっての考え方、心構え
アイデアを出せる人とそうでない人の違いは「意識」をしているか
普段の生活でアイデアのヒントを探しているか。
ぼーっと生きているだけではアイデアは生まれない。
アイデアはまず自分がどうしたいか、欲求から生まれる
「わがまま」⇒「思いやり」
周りの意見や状況から考え始めてもありきたりなものしか生まれない。
アイデアは既存の要素の組み合わせでしかない
自分が考えているその領域にとって新しければよい。
どこか別の業界のやり方を持ってきてもOK。
とにかく量を出すことが大事
大したことないと思うことでも頭の中に留めずに紙に書く。
アイデアを生み出すための4ステップ
1.アイデアのネタ素を貯める
2.目の前の課題についての情報を仕入れる
3.貯め込んだネタ素の中から使えそうなアイデアを引っ張り出す
4.ネタ素と課題について集めた情報を組み合わせて新しいアイデアを生み出す
この方法を使い、できるだけたくさんのアイデアを出す。
少なくとも30案は必要。
絞るのは後で出来るので、この段階ではアイデアを広げる。
アイデアを企画に落とし込む方法
アイデアの組み合わせ、パーツの交換などを行い、使えそうなものに絞る
企画の全てが新しいアイデアでなくてもOK。
肝の部分が新しければ、その他の部分は従来の手法を使うこともある。
絞ったアイデアを実行可能なところまで具体化していく
実現可能なアイデアが企画。
関係先との調整など、詳細を詰めるところまでやって初めて提案できるものになる。
情報インプットの考具
①カラーバス
何か(色、形状、位置、音など)を意識して生活すると、意識したことが引っかかって普段はスルーしていた情報が自分の中に入ってくる。頭の中でその気づきを意識するだけで十分。いつかのアイデア出しの時に組み合わせの素になる。
②聞き耳
電車、ファミレス、喫茶店、居酒屋などで周りの人の会話に聞き耳を立てる。話の話題やその人の様子から顧客の生活を想像する。(どんなことに興味があるのか、どんなことに困っているのかなど)
③お客様の立場に立って演じる
頭の中でお客様のことを想像するだけでなく、実際にお客様の立場に立って同じことをやってみる。例えば、商品を使う、サービスを受ける、子供向けのものを考えるのであれば、目線を下げるなど。実際にやってみないとわからない気づきがある。
④現場に行く
お題となる現場に行き、できるだけ詳しく取材する。話を聞きだすコツは相手を褒めながら聞くこと。
⑤気になったら何でもメモ
気になったことを書き留める。手を動かすという行為でいざというときに思い出す。できるだけビジュアルでメモを書くとよい。
アイデア展開のための考具
①ポストイット
1枚1ネタを書き、大きな紙に貼っていく。思いついたものをそのまま書く。ネタ同士の組み合わせから別のアイデアが出てくる。
②マンダラート
テーマを9マスの真ん中に書き、アイデアを周りに入れていく。8個マスがあるため、強制力が働く。すべてのマスが埋まったらそれぞれのアイデアをマスの中心にし、さらにアイデアを広げていく。マスはすべて埋める必要はなく、膨らみそうなアイデアがあればそれを広げていけばOK。
③マインドマップ
テーマを真ん中に書き、思いついたアイデアや要素を放射状に書く。マンダラート同様、各アイデアからさらにアイデアを広げていく。結びつく言葉を線でつなぎ、組み合わせでアイデアを作っていく。アイデアのヒントとなる言葉が一枚の紙の上にひしめき合って並ぶ形になる。
④連想ゲーム
お題から「~といえば」という問いかけでどんどん言葉を広げていく。頭の中の記憶を呼び起こし、それが今の課題と合わさって新しいアイデアが出る。
⑤オズボーンのチェックリスト
転用・応用・変更・拡大・縮小・代用・置換・逆転・結合
アイデアを生み出すための要素の組み合わせ方の基本パターン9つ。一つの事象をいろんな角度から見ることでアイデアが生まれる可能性を何倍にも広げることができる。
全てにおいて共通していることは、テーマをいろんな切り口で深堀し、組み合わせの要素を抽出すること、そして要素同士の組み合わせで新しいアイデアを作っていくこと。型にこだわりすぎず、アイデアが膨らむところがあれば、そこを突き詰める。
企画へ落とし込むための考具
①5W1H
いけそうなアイデアをお題の条件(5W1H)に当てはめる。先に条件から考えないこと。あくまでアイデアができてそのあとで5W1Hを考える。最初から条件を満たすことはないので折り合いをつけていく。
②タイトル
企画に必ずタイトルをつけること。初めて聞く人に概要をわかってもらうためのもの。言葉を具体的にすることで伝わる情報が増える。
③絵で表現
プレゼンをするときはできるだけ自分のイメージを絵にして伝える。絵で表現できる=企画の詳細なイメージを自分の中で詰められているということ。詳細まで丁寧に絵で表現する。
感想
タイトルの通り、アイデアの素となる情報のインプット、アイデア出し、企画の作り方までたくさんの「考具」が紹介されています。ポストイットなどはよく使っていましたが、今まで知らなかったものもあり、特にマンダラートはこれから試してみたいと思っています。
本書を読んで感じたのは、企画を生み出すためには日ごろから課題意識をもって世の中を見ることが必要だということです。そうすれば、生活の中で得られる情報も変わってくるし、自ずと新しい要素同士の組み合わせも生まれるのではと思います。
そのような意識を持った状態で考具を使って考える時間を作れば、さらにいいアイデアを生み出すことができるでしょう。斬新なアイデアを出せる人を目指して、考具を活用していきたいです。